2024/06/27 コラム
ステマに対する行政処分が行われました。
こんにちは。
弁護士の田村ゆかりです。
ステマに対する行政処分が行われましたのでご紹介します。
消費者庁は、令和6年(2024年)6月6日、
医療法人祐真会に対し、運営するマチノマ大森内科クリニック(東京都)において供給する診療サービスに係る表示について、
不当景品類及び不当表示防止法(景表法)に違反する行為(5条3号ステルスマーケティング告示)が認められたことから、
同法7条1項に基づき措置命令を行いました。
インフルエンザワクチン接種のためにクリニックに来院した者に対し、
Googleマップで星5または星4を投稿することを条件に接種費用を550円割り引くとしていたものです。
投稿した場合はその場で内容を確認し、接種後に費用を割り引いていました。
消費者庁が今回ステマであると認定した口コミは45件で、
全て星5が投稿されていました。
景表法は、事業者が広告であることを明示しないままに、
一般の口コミを装い商品又はサービスを宣伝することをステルスマーケティング告示(ステマ)として規制しています。
今回は、クリニックが表示内容の決定に関与しているため、
通常の口コミではなく事業者の表示に当たる、
そして一般消費者にとって事業者の広告であることを判別することが困難であるため、
同法に違反するとして措置命令を出しています。
措置命令の内容は、星5の表示を速やかに取りやめること、
今後同様の表示が行われることを防止するために必要な措置を講じ周知徹底すること等です。
今回はクリニックでしたが、飲食店やホテル等で、
星5の投稿をしてくれたら割引やプレゼントなど行っている事業者は多いのではないでしょうか。
景表法に違反していないか、確認する必要がありますのでご注意下さい。
【関連する条文等は下記参照】
不当景品類及び不当表示防止法
5条 事業者は、事故の供給する商品又は役務の取引について、
次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
3号 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であって、
不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの。
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表
(令和五年内閣府告示第十九号)
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、
一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの