「私ばかりなんでこんな目に…」夫の不倫相手が逆ギレ、夫の職場で暴れて慰謝料支払いも拒否…妻の「次の手」は?
こんにちは、弁護士田村ゆかりです。
弁護士ドットコムから取材を受けた件が公開されましたので、
よろしければご一読ください。
夫が不倫していたという女性。夫とは再構築することを決めて、不倫相手には慰謝料を請求して決着をつけようとしたところ、とんでもないことが起きたようです。
女性はケジメとして、不倫相手に200万円の慰謝料請求をしたとのことです。ところが、不倫相手が夫の職場に乗り込んできて、「2人の責任なのになんで私ばかりがこんなことになるなんてひどい。慰謝料も高額で払えない!」と騒いだそうです。
夫の職場はサービス業で、他の客にも迷惑がかかるため、困っていると弁護士ドットコムに相談が寄せられました。
女性は慰謝料請求を下げることは考えていませんが、不倫相手が夫の職場に来ることをやめさせたいとのことです。女性は不倫相手に、どう対応すれば良いのでしょうか。田村ゆかり弁護士に聞きました。
●慰謝料の相場は?
——不倫相手がいうように、「慰謝料200万円」は高額なのでしょうか。 まず、不倫相手への慰謝料請求は、不貞行為という不法行為によって妻が有する平穏な婚姻関係の維持という権利が侵害されたとして、民法第709条及び711条に基づいて行います。
慰謝料額の算定に当たっては、夫婦の婚姻期間や子の有無等、夫と不倫相手の不貞関係が始まった時点での夫婦関係、不貞関係が始まった経緯、不倫関係の内容、妻が不貞関係を知ってからの態度、不貞関係が夫婦関係や子に与えた影響、不倫相手年齢学歴等の各種要素が考慮されるため一概には言えませんが、裁判例を見ると200~300万円程度の認容額が多いようです。
そのため、慰謝料200万円の請求が著しく高額であるとは言えないでしょう。
●不倫相手は半額の100万円だけでいいのか?
——不倫相手は「不倫は2人でしたものなのに、自分ばかりがこんなことになるなんて」と夫に対して憤りを感じているようです。不倫相手が夫に「慰謝料200万円」を半額、払うよう求めることは可能なのでしょうか。
不貞関係は、不倫相手と夫の共同不法行為(民法第719条)とされており、不倫相手と夫が共に責任を負います。そして、この場合妻は、不倫相手と夫双方に慰謝料を請求しても、どちらか一方のみに請求しても良く、不倫相手と夫は両方が全額の支払義務を負います。
本件で言うと、200万円の慰謝料請求をされた不倫相手が、自分は200万円のうちの100万円しか支払いませんということはできません。ただし、200万円を支払った後、夫に対して100万円を請求することはできるということになります。
●職場への押しかけが続くようなら法的措置も可能
——女性は不倫相手が夫の職場に乗り込んでこないよう、どのような措置をとることが可能でしょうか。
基本的には、夫の職場又は夫が措置をとることになります。職場としては、乗り込んできて騒いだ不倫相手に対して業務妨害(刑法第234条参照)であるとして退出を求め、それに応じないようであれば警察に通報して対処を求めるといった対応が考えられます。
また夫としては、職場への押しかけが続くようであれば、ストーカー行為等の規制に関する法律に基づいて、接近禁止命令等の申立てを行うことも考えられます。
妻としてできることとしては、不倫相手と慰謝料について合意をする際に、不倫相手が今後夫に対して一切の連絡及び面談等を行わない旨を約束させるということも考えられます。
この記事は、公開日時点の情報や法律に基づいています。
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